フィールドホッケーは70分間走り続けながら、前傾姿勢でスティックを操作し、爆発的なスプリントと細かいステップを繰り返す競技です。この特異な身体要求に応えるフィジカルを、専用のS&Cプログラムで作れているチームは多くありません。名古屋フラーテルホッケーチームのトレーナーとして、フィールドホッケー国体愛知県代表の専属トレーナーとして現場に立ったBTC代表・砂田直通が、ホッケー専門のフィジカルトレーニングを解説します。
フィールドホッケーが身体に要求する3つの特殊性
①前傾姿勢を保ちながら動き続ける
フィールドホッケーは常に体幹を前傾させた姿勢でプレーします。これは脊柱起立筋・多裂筋・ハムストリングスに継続的な等尺性収縮を要求し続けます。この「前傾維持」が崩れると、ボールコントロールの精度が落ち、腰椎への負担も増大します。一般的なスクワット系の強化だけでは、この前傾持続力は鍛えられません。
②左右非対称のスティックワーク
ホッケーのスティック操作は、右手・左手で異なる役割を持つ左右非対称の動作です。長年の反復で利き手側の体幹・肩周りに強い非対称性が生まれ、これが肩・腰・膝の慢性傷害につながります。フィジカルトレーニングでは、この非対称性を意識的にバランスする種目設計が必要です。
③爆発的スプリントと細かいサイドステップの混在
ホッケーはアイスホッケーほどではないものの、方向転換と加速・減速が非常に多い競技です。サッカーや陸上の直線スプリント特化の筋力とは異なる、「多方向への力発揮」が求められます。具体的には股関節の外転・内転力、足首の反応速度、膝の側方安定性が重要です。

チームトレーナー現場で実践したトレーニング種目
前傾持続力を高める体幹プログラム
名古屋フラーテルホッケーチームでの指導では、通常のプランクに加え「前傾姿勢を模した動的プランク」を多用しました。具体的には、股関節屈曲位でのDead Bug(デッドバグ)、前傾姿勢を保ちながらの片脚RDL(ルーマニアンデッドリフト)、Pallof Pressの前傾バリエーションなどです。これらは競技動作の姿勢に直結した体幹トレーニングとして非常に有効でした。
重要なのは、体幹の「固める力(スタビリティ)」と「分節的に動かす力(モビリティ)」を同時に鍛えることです。ただのプランク時間を増やすより、動的な負荷の中で安定を保つ練習の方が競技転移が高くなります。
多方向スプリントのための股関節トレーニング
ラテラルバンドウォーク・コペンハーゲンアダクション・シングルレッグスクワットのフロンタルプレーン(前額面)バリエーションは、ホッケー選手のフィジカルに欠かせません。特にコペンハーゲンアダクションは内転筋の離心性(エキセントリック)強化に優れ、グロインペイン(鼠径部痛)の予防に効果が実証されています。国体代表選手の指導でも、シーズン前の予防的取り組みとして必ず取り入れました。
- デッドバグ(前傾バリエーション):ホッケー姿勢での体幹安定性
- 片脚RDL:ハムストリングス離心性強化+バランス
- ラテラルバンドウォーク:股関節外転・臀部の側方安定
- コペンハーゲンアダクション:内転筋の離心性強化・鼠径部予防
- シングルレッグスクワット(フロンタルプレーン):多方向力発揮の土台
- Pallof Press(前傾バリエーション):動的体幹スタビリティ
元ホッケー日本代表エースのアドバイスが指導に加わる
「競技の感覚」と「科学的トレーニング」の融合
BTCの最大の特徴は、元ホッケー日本代表エースストライカーがチーフアドバイザーを務めていることです。日本代表レベルの競技経験を持つアドバイザーが、「こんなプレーをするためにどんな身体が必要か」という視点でプログラムにフィードバックを入れます。NSCA-CPTによる科学的な設計と、トップアスリートの競技感覚が組み合わさることで、単なるフィジカルアップに留まらない「競技直結の身体」が作れます。
「トレーニングをしている感覚が、試合中の動きに直結している」という感想は、BTCで指導した選手から繰り返し聞かれます。これは、競技動作を理解したトレーナーが設計したプログラムだからこそ生まれる効果です。

シーズンを通じたピリオダイゼーション設計
オフ・プレシーズン・シーズン中で変わるトレーニング内容
フィジカルトレーニングはシーズン中も同じ内容で続けるのが正解ではありません。オフシーズンは最大筋力・可動域の土台づくり、プレシーズンはパワー・スピードへの転換、シーズン中は試合負荷を考慮した維持・疲労管理が中心になります。名古屋フラーテルホッケーチームでの指導でも、この周期設計(ピリオダイゼーション)を軸にプログラムを構成しました。
個人でパーソナルトレーニングを受けるアスリートも、チームの試合スケジュールに合わせた設計が必要です。BTCでは、初回カウンセリング時に年間スケジュールをヒアリングし、重要試合から逆算したプログラムを設計します。「大会の2週間前から何をすべきか」という具体的な計画が立てられます。
まとめ
フィールドホッケーに必要なフィジカルは、前傾持続力・左右非対称性のバランス・多方向スプリント力という3つの特殊性に応えるものでなければなりません。名古屋フラーテルホッケーチームと国体愛知県代表のトレーナー実績、元日本代表エースのアドバイスを組み合わせたBTCのパーソナル指導で、競技特化の身体を作りましょう。

